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益子×セントアイヴス100年祭
~益子×セントアイヴス100年祭にむけて~
益子の町で数多くの作品を残した人間国宝の陶芸家・濱田庄司氏が、英国を代表する陶芸家・バーナード・リーチ氏とともに英国セント・アイヴスで西洋発の登り窯を築いてから今年で100年の節目を迎えるとのことで、濱田庄司氏と縁の深い益子町で5月から「益子×セントアイヴス100年祭」が開催されます。
セントアイヴスは英国南西部コーンウォール州にある都市で、1920年に濱田氏とリーチ氏がともに登り窯を築きました。それが縁となりセントアイヴスと益子町との交流が始まり2012年には友好都市を締結しました。今年開催される「100年祭事業」では、濱田庄司、バーナード・リーチの作品を展示する企画展のほか、セントアイヴスの中学生が益子町にホームステイをし町内の中学生と交流をするなど国際交流事業も行われる予定です。
このイベントは2020年5月からの開催となりますが、益子に縁の深い陶芸家・濱田庄司とはどんな人物なのでしょうか。
今回は、益子町にある濱田庄司記念益子参考館を訪ねました。
濱田庄司は、近現代の日本を代表する陶芸家のひとりです。1955年(昭和30年)2月15日には第1回の重要無形文化財保持者(人間国宝)(工芸技術部門陶芸民芸陶器)に認定され、1968年(昭和43年)には陶芸家としては3人目となる文化勲章を受章しています。
1894年に神奈川に生まれた濱田庄司は東京の工業高校窯業科で学び、卒業後は京都市立陶芸試験場にて釉薬の研究行いました。そこで出会ったのが益子町とセントアイヴスの友好関係が生まれるきっかけともなったバーナード・リーチです。濱田庄司は英国に帰国するリーチに同行し、1920年に共同してセントアイヴスに登り窯を築き工房「リーチポタリー」を開窯しました。その後濱田庄司は帰国し、沖縄などで学び、以前より関心を寄せていた益子焼の産地・益子町で作陶をはじめ数多くの作品を残しています。
濱田庄司記念益子参考館は、濱田庄司の作品はもちろん、濱田庄司自らが蒐集した陶磁器、漆器、木工、金工、家具、染織、その他の工芸品を展示・公開されています。それは日本国内にとどまらず、中国・朝鮮・台湾・太平洋諸島・中近東、ヨーロッパ、南米など、また時代も古代から近現代まで多岐にわたります。自らが刺激を受け、栄養を豊かに取り入れ、また制作の糧となった品々を多くの工芸家や一般の人々に「参考」にして欲しい、益子参考館は開館されたとのことです。とても興味深かったのは、それらが自分の作品が負けたと感じた時の記念として集めた品々だということでした。
「私は物に出会っていいなと思うときは、
私が負けた証拠だ。勝負は一瞬に済み、
それから貰うものはほとんどすんでいるが
そのとき相手になった品は及ぶ限り手に入れて、
いつまでも、品物からうけた恩を大事にしたい。」
その言葉や集められた工芸品を眺めていると、濱田庄司はたくさんの「物」と真摯に対峙し、また同時に自らと対峙し、そしてそのきっかけとなった「物」たちはたっぷりと愛されて濱田庄司の生活の中にあったのだろうなと想像が膨らみます。この「物」に濱田庄司は何を思ったのだろう?ということは、わたしには伺い知ることはできないですが、そこに並ぶ数多くの工芸品が濱田庄司の優しいまなざしのもとにあったのだろうなという空気を感じるのです。
仕事について「相手によく聞く」とよく言ったとのことですが、「それは土に聞き釉に聞き火に聞くことであった」と同時に、さまざまな「物」と対話するということでもあったのではないかと感じます。
《展示室内にあった濱田庄司のことば》
「これは十五秒プラス六十年と見たらどうか。」というくだりが、ピカソが「たった30秒で描いた絵じゃないか(そんな絵に100万ドルもつけるなんておかしい)」と言われた際に「30年と30秒だ」といったという逸話を思い出しました。「結局、六十年間、体で鍛えた業に無意識の影がさしている思いがして、仕事が心持ち楽になってきた。」ってグッときます。
濱田庄司記念益子参考館では濱田庄司の作品や集められた工芸品ばかりではなく、濱田庄司が使用していた工房(細工場)や塩釉窯、赤絵窯、登り窯などを見ることができます。2011年の東日本大震災によって被害を受けた建物や窯も益子参考館震災再建基金に寄せられた多くの寄付によって再建され、多くの陶芸家による「登り窯復活プロジェクト」も行われ火も入れられました。登り窯は、実際に目の前にするととても大きなものでそこに鎮座する何か生き物のようにも見えます。窯の中にはたくさんの部屋があり、静かで不思議な空間でした。朝の連続テレビ小説でも薪を使った窯の話をしているのを見ているので、どのくらいの薪を使うのかな、どのくらいの日数がかかるのかな、温度は何度くらいなのかなと、ミーハーな私は素人ながらに色々と興味深く想像を膨らませながら見てきました。
濱田庄司氏は記念益子参考館は、陶芸家 濱田庄司が自ら参考とした品々を、広く一般の人々にも「参考」にしてほしいとの意図のもとに、開設された美術館です。普段から工芸や陶芸に興味を持ち色々なものを見ていらっしゃる方はもちろん色々なことを感じ「参考に」出来るのだと思いますが、そういった素養のない人でも迎え入れてくれるような優しがのある美術館でした。なんといっても「濱田庄司」という人間に興味の湧く場所です。
6月には益子陶芸美術館で特別企画展「濱田・リーチ 二つの道」が開催され、濱田庄司がリーチポタリーで作陶し1923年にロンドンで初個展を開いた際に出品された貴重な陶器なども展示される予定とのこと。現在、濱田庄司記念益子参考館1号館では企画展示「リーチと濱田展」が開催されています。館内の中に対称的にリーチと濱田庄司の作品が並べられ工夫された展示がされています。
今年盛り上がる「益子×セントアイヴス100年祭」を前に、春の訪れを待つ益子で「予習」をしてみてはいかがでしょうか?
益子舘では「濱田庄司記念益子参考館」チケット付きプランもご用意しております。
ぜひ益子の町歩きにお役立てください。
【公益財団法人 濱田庄司記念益子参考館】
開館時間: 9時30分〜17時(入館は16時30分まで)
休館日:月曜日(月曜日が祝日の場合は開館し、翌日休館)
12月28日〜1月4日(年により若干の変動あり)
展示替え休館:7月および12月の年2回
臨時休館あり
〒321-4217栃木県芳賀郡益子町益子3388
Tel 0285-72-5300
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益子×セントアイヴス100年祭事業概要(益子×セントアイヴス100年祭事業実行委員会より)
「益子とセントアイヴス―100年のストーリー」
濱田庄司とバーナード・リーチの二人の青年が、夢を抱きイギリスのセントアイヴスに渡ってから、今年で100年になります。二人は、セントアイヴスに西洋初の東洋式登り窯を築き、リーチポタリーを開窯しました。
リーチはセントアイヴスを拠点に洋の東西を股にかけ活躍し、その制作の場であるリーチポタリーは陶芸の聖地と目されるようになりました。濱田はその後、益子に居を構え、日本を代表する陶芸家の一人として、また民藝運動の主導者の一人として日本のみならず世界中で指導に回りつつ、同時に益子焼の近代化を牽引しました。リーチが西洋社会に濱田の活躍を紹介したことも、益子焼が世界的な知名度を誇ることになったきっかけとなります。二人の友情が、その後の両地の窯業および文化発展の起因であるとも言えます。濱田とリーチがともに没した後も益子とセントアイヴスの結びつきは続いています。2012年には友好都市を締結し、陶芸関係以外でも中学生同士の交流など友好の輪が広がっています。
そこで益子町では、濱田とリーチがセントアイヴスに入って100年となる今年、「益子×セントアイヴス100年祭」と名付け、町を挙げてこれを祝う事業を立ち上げました。この「100年祭」を通して、二人が築いた友情の輪が益子とセントアイヴスの歴史や陶芸の発展に大きな影響を及ぼしたことを再認識し、これからの両町の交流のさらなる発展を育む機会とします。
そして、「100年祭」を町内外、国内外に広くアピールし、益子とセントアイヴスの100年のストーリーをより多くの人々に知っていただくことで、この事業がその先の「100年」へと続く実り多きものとなることを願います。
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◇今後予定されているイベント等◇
【2020年5月】
セントアイヴスと益子の中学生交流
【2020年6月28日~11月8日】
益子陶芸美術館「濱田・リーチ展」
100年祭事業開幕
【2020年6月~11月】
町内のカフェ・レストランにて
「ましこのカフェめぐり 益子×セントアイヴスVer.」
【2020年6月】
益子メッセミニギャラリー・各店舗にて
Margaret Frith & David Frith Exhibition
【2020年7月~10月】
「Pottery Seeds~陶土を学ぶ~」
益子焼協同組合
【2020年9月5日~11月8日】
陶芸メッセミニギャラリー・各店舗
濱田所縁の作家展
【2020年9月26・27日】
ましこ市2020
投稿日:2020/02/03 カテゴリー:こんなとこましこ
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